最高裁判所第二小法廷 昭和63年(オ)1383号 判決 1991年10月25日
昭和六三年(オ)第一三八三号事件上告人兼平成三年(オ)第一三七七号事件申立人
大塚鉄工株式会社
右代表者代表取締役
大田有作
右訴訟代理人弁護士
音喜多賢次
昭和六三年(オ)第一三八三号事件被上告人兼平成三年(オ)第一三七七号事件被申立人
武内運送株式会社
右代表者代表取締役
武内衛
右訴訟代理人弁護士
安井桂之介
濵涯廣子
主文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人音喜多賢次の上告理由一ないし三について
一 原審(その引用する第一審判決を含む。)の確定したところによれば、(一) 本件事故は、昭和五四年一月二九日午後四時一二分ころ、芳村石産株式会社美山工場の集じんダクト配管工事現場において、クレーン車(以下「本件車両」という。)で鋼管をつり上げて移動中、鋼管が均衡を失して着地し、ワイヤーロープから抜け落ちて倒れ、近くで作業中の高橋幸治の背面に激突して生じたものである、(二) 本件事故は、本件車両を運転していた坂本信義(以下「坂本」という。)及び本件車両で鋼管をつり上げるための玉掛け作業を行っていた金澤美喜雄(以下「金澤」という。)の過失に原因するものであるから、坂本及び金澤は、それぞれ民法七〇九条による損害賠償責任がある、(三) 上告人は、芳村石産株式会社から請け負った前記集じんダクト配管工事を行うため、被上告人から本件車両を賃借し、また、これを運転していた坂本を指揮監督するほか、上告人から当該工事を下請けした金澤工業株式会社(以下「金澤工業」という。)の代表者として前記玉掛け作業を行っていた金澤を指揮監督していた者であるから、本件車両の運行供用者として、かつ、坂本及び金澤の使用者として、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条及び民法七一五条一項による損害賠償責任がある、(四) 被上告人は、上告人に本件車両を賃貸し、また、その運転手として従業員の坂本を派遣していた者であるから、本件車両の運行供用者として、かつ、坂本の使用者として、自賠法三条及び民法七一五条一項による損害賠償責任がある、(五) 金澤工業は、その代表者である金澤が同社の職務に行うについて引き起こした本件事故につき、商法二六一条三項、七八条二項、民法四四条一項による損害賠償責任がある、というのである。
二 原審は、本件事故について前記のとおり損害賠償責任を負う坂本、金澤、上告人、被上告人及び金澤工業のうち、自己の出捐の下にその負担部分を超えて損害賠償義務を履行した者は、他の損害賠償義務者に求償することができるとした上、この場合における負担部分は、損害賠償義務者間の求償問題を一挙に解決するため、右の全員について個別的に定めるのが相当であるとして、各自の負担部分を坂本につき一割、金澤及び金澤工業につき連帯して三割、上告人につき三割、被上告人につき三割と定め、被上告人の上告人に対する本件請求を右の負担部分の限度で一部認容した第一審判決を正当と判断して、上告人の控訴を棄却している。
三 しかしながら、被上告人の上告人に対する本件請求は、本件事故の加害者である坂本の使用者及び坂本が運転していた本件車両の運行供用者として損害賠償義務を負う被上告人が、被害者の損害を賠償したことを原因として、同じく坂本の使用者及び本件車両の運行供用者として、かつ、坂本と共同して本件事故を引き起こした金澤の使用者として損害賠償義務を負う上告人に求償するものであって、このような場合において、坂本、金澤、上告人、被上告人及び金澤工業の負担部分をその全員について個別的に定めた上、自己の負担部分を超えて損害を賠償した被上告人は、上告人に対し、その負担部分の限度で求償し得るものとした原審の前記判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
1 複数の加害者の共同不法行為につき、各加害者を指揮監督する使用者がそれぞれ損害賠償責任を負う場合においては、一方の加害者の使用者と他方の加害者の使用者との間の内部的な分担の公平を図るため、求償が認められるべきであるが、その求償の前提となる各使用者の責任の割合は、それぞれが指揮監督する各加害者の過失割合に従って定めるべきものであって、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、他方の加害者の使用者に対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で、右の金額を求償することができるものと解するのが相当である。けだし、使用者は、その指揮監督する被用者と一体をなすものとして、被用者と同じ内容の責任を負うべきところ(最高裁昭和六〇年(オ)第一一四五号同六三年七月一日第二小法廷判決・民集四二巻六号四五一頁参照)、この理は、右の使用者相互間の求償についても妥当するからである。
2 また、一方の加害者を指揮監督する複数の使用者がそれぞれ損害賠償責任を負う場合においても、各使用者間の責任の内部的な分担の公平を図るため、求償が認められるべきであるが、その求償の前提となる各使用者の責任の割合は、被用者である加害者の加害行為の態様及びこれと各使用者の事業の執行との関連性の程度、加害者に対する各使用者の指揮監督の強弱などを考慮して定めるべきものであって、使用者の一方は、当該加害者の前記過失割合に従って定められる負担部分のうち、右の責任の割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、使用者の他方に対して右の責任の割合に従って定められる負担部分の限度で求償することができるものと解するのが相当である。この場合において、使用者は、被用者に求償することも可能であるが、その求償し得る部分の有無・割合は使用者と被用者との間の内部関係によって決せられるべきものであるから(最高裁昭和四九年(オ)第一〇七三号同五一年七月八日第一小法廷判決・民集三〇巻七号六八九頁参照)、使用者の一方から他方に対する求償に当たって、これを考慮すべきものではない。
3 また、複数の者が同一の事故車両の運行供用者としてそれぞれ自賠法三条による損害賠償責任を負う場合においても、右と同様に解し得るものであって、当該事故の態様、各運行供用者の事故車両に対する運行支配、運行利益の程度などを考慮して、運行供用者相互間における責任の割合を定めるのが相当である。
4 これを本件についてみるに、被上告人の上告人に対する請求の当否を判断するに当たっては、まず、坂本と金澤との過失割合に従って両者の負担部分を定め、金澤の使用者としての上告人の負担部分を確定し、次いで、坂本の加害行為の態様及びこれと上告人及び被上告人の各事業の執行との関連性の程度、坂本に対する上告人及び被上告人の指揮監督の強弱、本件車両に対する上告人及び被上告人の運行支配、運行利益の程度などを考慮して、坂本の負担部分につき、その使用者及び本件車両の運行供用者としての上告人及び被上告人の負担部分を確定する必要があったものというべきである。
5 以上と異なる原審の前記判断は、損害賠償義務者相互間の求償に関する法令の解釈適用を誤った違法があるといわなければならず、その違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。これと同旨をいう論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、以上を説示したところに従い更に審理を尽くさせる必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。
よって、民訴訟法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官大西勝也 裁判官藤島昭 裁判官中島敏次郎 裁判官木崎良平)
上告代理人音喜多賢次の上告理由
一、原判決は、『上告人は本件プラント工事において重量物等の移動・運搬のためクレーン車を必要としたので、被上告人に対し、継続的に運転手つきで右工事用クレーン車の派遣を要請し、被上告人はこれを承諾して、坂本を運転手として、クレーン車を右プラント工事現場に派遣していた、』との認定事実をもって、右の法律関係は『運転手付きのクレーン車の賃貸借契約』と解すると判示している。
しかし、右事実認定のための掲記の各証拠には、当然に『賃貸借契約』であると認定できる内容は存在しないし、上告人は、本件クレーン車の引渡しを受けたことも、その善管義務を負ったこともなく、原判決右判示の認定事実の限りにおいては、その文言上、その法律関係は、むしろ、一定作業の処理を目的とする請負契約関係とされるべきである。
しかして、本件クレーン車についての法律上の関係が、賃貸借か請負かによって、本件クレーン車による作業の間に発生した事故についての上告人の責任の有無、ないしは法律上の内容に影響を及ぼすことは明らかである。
すなわち、原判決にはこの点において、理由を付せず、または理由に齟齬があり、かつ、民法第六〇一条、六三二条その他関連法条の解釈・適用につき、判決に影響を及ぼすこと明らかな違背がある。
二 (一) 本件事故は訴外金澤美喜雄および坂本信義の両名の共同過失に基づくものであること、そして右両名はいずれも、被害者に対し、民法第七〇九条による損害賠償義務を負うこと、そして、訴外坂本の使用者である被上告人は、被害者に対し、民法第七一五条第一項による、いわゆる使用者責任、ならびに自動車損害賠償保障法(以下自賠法という)第三条の、いわゆる運行供用者の責任を負うことは、当事者間に争いがなく、かつ、原判決も確定した事実関係および法律関係である。
(二) 原判決は、上告人の被害者に対する責任根拠については、被上告人と同様に、民法第七一五条第一項の使用者責任、および自賠法第三条の運行供用者責任であるとしている。
この責任根拠は、第一項記載の違法が是正されるにおいては、おのずから変更されるべきものであるが、仮に原判決のとおりとしても、これら各関係者の責任は、すべて被害者に対する義務関係であって、各関係者相互間の関係は、これとは別個である。
しかして、直接の不法行為者の民法第七〇九条の不法行為責任と、民法第七一五条の使用者責任、および(または)自賠法第三条の運行供用者責任との関係は、それぞれ別個の責任原因であって、被害者に対する関係において、いわゆる不真正連帯債務関係であることは、判例(大審院昭和一二年六月三〇日民三部判決。民集一六巻一九号一二八五頁)、および学説上、確定的な見解である。
そして、不真正連帯債務者相互間にあっては、主観的関連がないため負担部分なるものはなく、従って当然求償関係が生じないことが、その主要な内容とされている。
もっとも、不真正連帯債務者間に求償の関係が生じる場合があるけれども、それは、その債務者間に存する契約関係または法律に定める関係(例えば民法第七一五条第三項)に基づくものであって、不真正連帯債務関係そのものから生じるものではない。
(三) 更に、本件は、共同不法行為者相互間の求償問題ではなく、また、共同不法行為者以外の者から(共同)不法行為者に対する求償問題でもない。
原判決は、上告人と被上告人とは、それぞれ民法第七一五条および自賠法第三条に基づく、それぞれ独立した賠償義務者であるとしており、最終責任者(共同不法行為者)である訴外坂本および金澤とは、本来、共同不法行為者の関係にないばかりか(民法第七一九条によれば、共同不法行為者とされるのは、共同行為者のほか、教唆者および幇助者の範囲である。)、更に、上告人と被上告人とは、もとより共同不法行為者の関係にない。
原判決の認定事実によれば、被上告人は、上告人の『要請』を『承諾』して『坂本を運転手として、クレーン車を……工事現場に派遣して』業務処理に当らしめ、それに対し報酬を得る関係にあるのであるから、上告人に対しては安全操業の義務を負っており、その間に発生した事故について、もし上告人が被害者に対し損害賠償をした場合は、上告人は被上告人に対し右の義務違反による損害として求償し得ることは当然であるが、逆の場合に、被上告人より上告人に求償し得る根拠はない。
(四) しかるに原判決は、何らの根拠を示すことなく、上告人について、被上告人との関係において共同不法行為としての求償権の成立を認定しているのであって、この点において、原判決には、理由を付せず、または理由に齟齬があるとともに、民法第七〇九条、七一九条、七一五条、七一六条、その他関連法条の解釈、適用においての違背があるもので、この違背は判決に影響を及ぼすことは明らかである。
三、原判決は、本件事故車の保有者であり、業として被上告人にリースしている訴外富士リース株式会社について、被上告人のリース部門を独立させた会社で、代表者および本店所在地は同一であると認定し、また、上告人は、本件プラント工事のうち集塵機設置工事および本件工事を、代金二七〇万円で冨士産業株式会社に、同会社はこれを代金二一〇万円で上野エンジニアリング株式会社に、同会社はこれを更に金澤工業株式会社に、それぞれ下請けさせたこと、そして、冨士産業株式会社は右工事に直接的な関与はせず、設計は上野エンジニアリングに、施行は金澤工業に担当させたこと、上野エンジニアリングからは、設計担当の訴外森本猛士が本件工事現場に派遣され、金澤らと共に工事に従事していたこと、を認定し、右以外には、右関係各社の本件事故発生にかかわる工事に関する位置付けについては、特段の事実認定を示していない。
ところが、原判決は、本件事故の損害の負担割合について、富士リース、冨士産業および上野エンジニアリングには内部的には固有の負担部分はない、と判断した。
しかしながら、前記の原判決が認定した事実の限りにおいて、右の関係各社に、特に、直接不法行為者に近接する位置にある冨士産業および上野エンジニアリングに、負担部分(責任)が全く存在しないとの判断は、条理ならびに経験則に反する。
しかして、右関係各社に一定の負担部分があるとするならば、被上告人と冨士産業および上野エンジニアリングとの間の和解金の取り扱いを含む原判決の結論は、当然に変更されることは明らかである。
すなわち、原判決には右の点において、審理を尽くさず、判決に理由を付さず、または理由に齟齬があり、かつ、判決に影響を及ぼすこと明らかな法律の解釈適用の違背がある。
四 (一) 原判決は、『建設事業のように、元請人、下請人、その各労働者が同一作業現場において共同して作業を行っている場合においては、……元請人が事業主として加入している労災保険はもとより、右作業に用いられている自動車の運行に伴う危険を担保するための自賠責保険、いわゆる任意保険又は共済も、右共同の危険を担保するものであり、共同不法行為者全員の責任保険たる性質を有するものと解する』と判断したうえ、求償関係について求償額を算定するに当り、全損害額から右保険金および共済金(以下、保険金等という)の合計額を控除した残額を、各関係者につき認定した負担割合(これは前項により取消されるべきものである)に応じ、無条件に割り付けをしただけで、右保険料等と各保険契約者との関係を全く考慮していない。
(二) しかしながら、特定の事故について、共同不法行為者ではないけれども、使用者責任や運行供用者責任として、被害者に対する関係において、全部賠償義務を負う者も存在し(本件においては、訴外富士リースは本件事故車の保有者で、自賠責保険の契約者・被保険者であり、同保険金が損害の一部賠償に充てられたほか、被上告人とともに、残額について支払を命じる判決を受けている。)、前記の各保険等は、各契約者が、強制的または任意に、保険料を負担出捐して自己の賠償責任に備えているのであるから、その保険金等によって被害者に対する賠償がなされた場合、賠償責任者の出捐によって賠償すべき損害額が減少することは当然としても、賠償責任者相互の求償関係において、各保険等の契約者に係る保険金が全く考慮されないということは正当でない。
(三) 具体例をもって考えるならば、被害者に対し各自全部履行義務を負うが、内部関係においては、四〇%の過失割合の甲と、六〇%の過失割合の乙との場合、乙が何らの出捐をしないため、甲が付保した保険金によって七〇%、甲自身の出捐によって三〇%、合計甲が一〇〇%の被害賠償をしたとする。原判決の考えによれば、甲は自己の過失割合(負担部分)を超える額を自己の保険金によって賠償したにかかわらず、甲の出捐した三〇%について、その四〇%を更に負担し、乙に対してはその六〇%しか求償できないことになる。
なお、保険金等による賠償額が、当該付保者の負担割合額を超過しているとしても、その超過額の求償はできないが、それは『共同不法行為者全員の責任保険』だからでなく、当該付保者の「出捐」でないからである。
(四) 前記の原判決の判断は、原判決が認定した事実関係における保険金の法律上の性質を誤認したもので、この誤りは原判決の結果に影響を及ぼすこと明らかな法律の解釈適用の違背である。
五 (一) 上告人は、本件事故の被害者である訴外高橋に対しては、上告人を事業主とする労災保険から、昭和五八年八月以降同六一年一〇月までの分の労災障害補償年金として、合計八三六万九八〇〇円が支給されており、この支給は、被上告人に損害賠償支払を命じた訴訟の口頭弁論終結時である昭和五八年八月二六日以降ではあるが、右口頭弁論終結前の昭和五七年一〇月二五日に支給決定がなされ、かつ被上告人はこれを知っているので、被上告人は右訴訟の判決に基づく支払の際、この年金給付相当分については支払を留保すべきであり、少くとも、右支払時点において既に支給された一三〇万六三〇〇円は、判決後に生じた事由として支払額から控除すべきであったのに、上告人に通知もせず全額を弁済したのであるから、右金額分については、民法第四四三条第一項の準用により、これを上告人らに求償できない、旨の主張をしたが、
右に対し原判決は『民法四四三条一項は債務者間に密接な協力関係のある連帯債務についての規定であるところ、本件のごとき共同不法行為者間の求償関係においては、共同不法行為者間に同項所定の通知を要求するほどの協力関係があるとはいえないから、同項の類推適用の基礎に欠ける』として、『その余の点について論及するまでもなく』理由がないと判示した。
(二) しかしながら、前述のとおり、上告人と被上告人とは共同不法行為者の関係にはないのであり、仮にそうだとしても、右同条の適用範囲が『債務者間に密接な協力関係にある連帯債務』に限られるとすべき根拠は存在しないし、そもそも『密接な協力関係』とは、どのような事実関係を指すのかも不明であって、原判示のような理由をもって、抗弁権を有する債務者にその権利を行使する機会を失わしめないことを目的とする本条の適用が排除される理由はない。
すなわち原判決には、判決の結果に影響を及ぼすこと明らかな右法律条項の解釈適用の誤りがあり、ひいては、審理を尽くさない違法がある。
民事訴訟法一九八条二項の申立て
前記当事者間の標記事件の本案判決を変更する場合において、民事訴訟法第一九八条第二項に基き、第一審判決に付せられた仮執行宣言に基き被上告人に給付した金員の返還、および同仮執行により上告人が受けた損害の賠償について、左記の裁判の申立をします。
申立の趣旨
被上告人は上告人に対し、金六、四七〇、〇九八円、および右に対する昭和六三年一二月五日以降完済に至るまで、年五分の割合による金員を支払え。
この裁判に関する費用は被上告人の負担とする。
との裁判を求める。
申立の理由
一、被上告人は、本件の第一審の東京地方裁判所昭和五九年(ワ)第一七五七号事件の仮執行宣言付判決に基く強制執行として、東京地方裁判所昭和六三年(ル)第四三八五号事件の昭和六三年一〇月二四日付債権差押命令により、左記請求金額と同額の、上告人が株式会社池田銀行に対し有する預金債権を差押え、同年一二月五日、その全額を取立てた。
金六、四七〇、〇九八円
内訳
(1) 五、二五〇、五五四円
東京地方裁判所昭和五九年(ワ)第一七五七号事件の仮執行宣言付判決に基く債権元本
(2) 金一、二一二、九八四円
右(1)に対する、昭和五九年三月九日から昭和六三年一〇月二〇日まで、年五分の割合による損害金
(3) 金七、四六〇円
執行費用
二、前記の強制執行は、本件上告提起後に、前記債務名義の仮執行としてなされたものであり、本件本案判決が変更されるにおいては、右の給付金員を上告人に返還するべきであるほか、これに対する給付の日以降返還が完了するまで、民法所定の年五分の割合による損害金の賠償支払いをするべきものである。